ある産婦人科医の備忘録

産婦人科医の臨床、研究、考えについて

産婦人科専門医試験に向けた勉強方法

4月を目の前にして今年の産婦人科専門医試験に向けて準備が始まる時期になってきました。

 

先日学会より発表になった2022年度合格者数が410名でしたね。

2019年の新規学会入会者が442名であり

単純計算で410/442=92.8% です。

これは2021年度の単純計算の414/453=91.3%よりも多いようにも見えますが、

噂では例年よりも2022年では合格率は低かったなんで話も聞きます。

色々な要因が受験者数に働くので外からの情報ではなかなかわかりませんが、

概ね80%後半~90%程度の合格率なのでしょうね。

obstetrician.hatenablog.com

 

 

勉強方法はシンプルです ⇩

①専門医筆記試験に向けた例題と解説集 補遺

②産科 婦人科 ガイドライン 

③必修知識 特に"図表やテーブル"

 

とにかく繰り返して記憶の定着化を図りましょう。

丸暗記では対応できないパターンもあるので周辺知識の理解も必要です。

臨床業務と並行しての勉強は辛いですが、患者さんにも還元できる知識になるのでめげずにがんばってください。

 

⇩でも記しているので参考までにどうぞ

obstetrician.hatenablog.com

 

追記:

よく後輩から『過去問は何年分解いたか?』の質問を受けます。

→ 『Kalibで購入できる最大の年数を解いた。』と答えてます。
  おそらくこれが中央値なのではないでしょうか?
  試験で大切なことは”みんなができるものは落とさないようにする”です。
  しかし、おそらく年数が新しい過去問の方が重要度は高いでしょう。
  癌のステージングは過去の現在はでは異なる可能性もあります。

 

 

※余談ですが、話題のChat GPTに試験に向けて重要なことを聞いてみた結果⇩

① 試験の形式と内容を理解する: 試験のシラバスと形式を確認し、問題の種類、制限時間、採点方式を理解しましょう。また、試験を受けたことのある他の医師に話を聞くことで、何が予想されるかについての洞察を得ることができます。
→ これは確かに大切ですね。

 

② 出題率の高いトピックに集中する: 過去の試験やシラバスから、試験で最も出題されそうなトピックを特定します。これらのトピックの学習に時間をかけ、コンセプトをしっかりと理解するようにしましょう。
→ これも重要で勉強の優先度は高いとは言えますが、かなり広い範囲から出題があるので、頻出問題だけに集中するのはリスクが高いと思います。

 

③ サンプル問題や過去問で練習する 過去の試験問題やサンプル問題を使って、どのような問題が出題される可能性が高いかを把握しましょう。受験戦略を立てたり、もっと練習が必要な箇所を特定するのに役立ちます。
→ 過去問は大切ということは同意ですね。

 

④ 最新の研究・ガイドラインを常に把握する: 自分の専門分野での最新の研究や臨床ガイドラインに精通していることを確認しましょう。そうすることで、最新の知識が必要とされる問題に答えることができます。
→ ここは最新過ぎても出題しにくいと思うので2-3年前に変更になった重要な指針などが出やすいかもしれませんが、これを検証したわけではないです。

 

⑤ 学習習慣を身につけ、時間を効果的に管理する: 学習計画を立て、毎日定期的に学習時間を確保しましょう。詰め込み勉強は避け、燃え尽き症候群を防ぐために定期的に休憩を取りましょう。試験までに必要な内容をすべてカバーできるよう、時間を効率的に管理しましょう。
→ 正論過ぎて耳が痛いですね...

2022年の振り返り → 2023年の目標

2022年を振り返る.

牧草地, 分野, オーツ麦, 草, 雑草, 自然, 風景, 田舎, 日没, バックライト, 夕暮れ, 静かな

 

① 論文作成が加速し始めた.

② 臨床ではオーベン的な立場になった.

 

① なんといっても自分の経歴の中では論文をたくさん書いた年であった.
といっても,

アクセプト1本
投稿中2本
投稿前作業中3本

みたいな状況でpublishedな成果は1本ですが.

また,2023年早々に新たなRWD研究とSRを始めているので年末年始がない...

 

いままでバラバラの知識であったものが体系化されてきたような気がする.

今後は単純な関連研究(A was siginificantly associated with B!!!)ばかりではなくて
SR-MAやPredicitionなんかにも手を伸ばしたいと思っているが2023年に叶うのか?

 

そして産婦人科領域で臨床疫学研究をしていて色んな課題も新たに見てきたことはよかった.

 

② 臨床ではオーベン的な立場になり当直では自分と後輩で手術をするようになった.

責任が増えることでより一層に臨床の不確実性と如何に向き合うのかということをよく考えるようになった.

恐らく自分はよりその不確実性に対して敏感であるが故に色々な困難もあったが
今後も患者さんの安全を第一に励んでいきたい.

なにより2022年も大きな事故なく,患者さんの安全を守れたことは本当に良かった.
患者さんに感謝の手紙をもらったりして1人でぐっと来たりなどあった.

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

さて2023年の目標

① 上記の通り論文を書く
今の予定の論文が全てpublishできれば8本になるかもしれない.

まだまだ視野が狭いし,粗削り過ぎる.
丁寧で美しい論文を書いてみたい.
それは決して小難しい解析手法を売りにしたものではなく,アイデアやデザインの美しさである. 憧れ

 

② 英語のお勉強
色んな意味で避けて通れない.
今まで逃げてばっかりだった気がする.
大学受験でも足を引っ張ったな. 

さあ,もう逃げられない.

 

③ 品のある人間になる

きちんとしたいですね、、、

 

 

 

 

2022年 産婦人科専門医試験 お疲れ様でした! 合格率は???

 

2022年 産婦人科専門医試験 お疲れ様でした!

 

先日結果が発表されたようですね。

身近なところでも試験を受けた方々がいて嬉しい報告を受けました。

残念だった方も何度でもチャンスはあるので来年度に向けて臨床のやりながら試験を意識してその都度ガイドラインを見直すなどしてみるとよいかもしれません。

 

 

今年は下記のようなかたちで行われたようですね。

 

試験期日
 2022年7月23日(土)午後  筆記試験
 2022年7月24日(日)全日  面接試験

試験会場
 ・東京会場(北海道、東北、関東、北陸(新潟)の各ブロックに所属する場合)
  都市センター
 ・大阪会場(東海、北陸(富山、石川、福井)、近畿、中国、四国、九州の各ブロックに所属する場合)
  千里ライフサイエンスセンター

 

 

これから試験を受ける方に注意していただきたいのは

日本産科婦人科学会側が明確に下記の文言を記していることです

『総合点に関らず知識が偏っている場合は不合格となることもあります。』

産婦人科専門医認定二次審査における筆記試験について|公益社団法人 日本産科婦人科学会

よってやはり自分の得意分野で点数を伸ばすだけではダメなのです。

この方針は専門医試験としては良いと個人的には思っております。

 

また程度は不明ですが下記の文言も気になりますね。

『症例レポートも評価の対象になります。』

日本産科婦人科学会専門医認定二次審査における筆記試験について|公益社団法人 日本産科婦人科学会

レポートもおざなりにはできないでしょう。

 

 

合格率や合格基準は不明ですが、

私が受験した2021年では、 合格者414名 でした。

学会新規入会者数は2018年は、 453名 です。

簡単に見積もると 414/453=91.3% です。

 

しかし、下記のような因子も考慮すべきかもしれません。

・後期研修1年目に学会入会後、ストレートに受験するか否か(産休、病休など)。

 → 受験者数減に働く因子ですが、毎年の産休割合がほぼ一定とすれば、

   その受験を見送っていた人数は次の年度で受験するため

   ここはあまり大きく受験者数に影響しないかもしれません。

・前年度不合格者の再受験

  → これは分母(受験者)増に働くため、もっと合格率は低くなると思います。

 

よって、ざっくり85-90%程度が真の合格率ではないかと推測されます。

この辺知っている方がいたら教えていただきたいです。

 

追記:

今回の試験の合格率は87%程度..? 例年より数%低い

 

 

下記は私が試験勉強をしたときの振り返りです。

参考までに

obstetrician.hatenablog.com

戒めとしての論文を書く上でのエッセンス

花, 植物学, ブルーム, 花びら, 成長, 自然, 瓶, ルカ, 木

 

統計解析もある程度理解した! 

統計ソフトも操作できる!

英文執筆も翻訳ソフトや英文校正があればそこそこだし...!

文献検索は得意です!

 

そんな彼は自分がバリバリ論文を書けるようになったのではないかと自信がついてきた.
しかし,その自身は粉々に打ち砕かれることになる.

 

(上司からのレスポンス)

言いたいことがわかりにくい. 

これの臨床的な有用性は?

その結果は臨床に合致するの?

 

(ジャーナルからのレスポンス)
研究デザインに問題がある(kick!).

そうなのです.

小手先の技術ばかり追い求めた結果として, 本質がおざなりになっていたのです.

 

高度な?統計技術を使用しても,
内容にインパクトがないとダメであるという基本的なことが意外と難しい.

 

その内容の価値とはどのように規定されるだろう?

 

・未解明の病態の解明

・稀な疾患や新たな疾患概念の記述

・リスク因子(できれば制御可能なもの)の発見

・新たな診断方法の提案

・診断の有用性評価

・新たな治療方法の発見

・治療の有用性評価 他の治療との比較

・治療の合併症の発見

 

また, FIRM2NESSというリサーチクエスチョン設定のフレームワークがある.


Feasible「実施可能性」
Interesting「科学的興味深さ」
Novel 「新規性」
Ethical「倫理性」
Relevant「必要性」
Measurable「測定可能性」
Modifiable「改善可能性」
Specific 「具体性」
Structured「構造化」

 

こういったフレームワークは一見しただけでは不十分, というか使えるようにはならない. 具体的な事案で,面倒ではあるが, その都度フレームワークに当てはめて熟考する経験を積まないとならないだろう.

自分はまだまだなので繰り返していくしかない.

 

 

 

 

感度分析 E-value について 

感度分析 Sensitivity analysis という広い概念の中で

E-valueと呼ばれる定量的に判断できそうな指標がある.

 

詳細は他のブログで素晴らしい日本語でのご解説があるので,
本記事では個人的な疑問点を述べるに制限する.

(お二方とも非常に素晴らしいブログでファンである)

www.krsk-phs.com

 

riklog.com

 

E-valueとは

既に測定できている交絡因子で調節した上での
暴露とアウトカムの関連(リスク比)が無くなるには
未測定交絡因子がある値のリスク比(=E-value)で暴露とアウトカムに関連している必要がある

というものである.

 

簡単にいうとE-value以上に暴露とアウトカムに関連してそうな未測定交絡因子がありそうなら,研究の結果が変わってしまうかもよ

的な雑な解釈である.

 

E-valueの計算もすごく簡単で,以下で求められる.

E-value = リスク比 + sqrt[リスク比 × (リスク比-1)]

 

上記の式を眺めていただくとわかるが,リスク比さへわかれば求まるのである.

さぁこれは便利だ! と短絡的には考えてしまうのだが以下に問題点を記述する.

 

式を見れば一目瞭然だが,メインの解析で求まったリスク比が大きければ大きいほど,

E-valueは大きくなる=未測定交絡だけでは説明つかなそうだね

となるのである.

逆に言うと,メインの解析で求まったリスク比が小さいと,

E-valueも小さくなり,「それくらいのリスク比を持つ未測定交絡ってありそうじゃね?」と解釈したい気持ちになるのである. これが問題と思う.

 

具体的には

薬:A と アウトカム:入院 の関連を検定すると

リスク比:1.94 でした.

すると,E-value:3.29 と求まる.

 

もちろん考えられる未測定交絡を過去の文献や臨床的な視点から考慮し,

そのようなリスク比を持ちそうな未測定交絡が無いならよいのだろうが,

リスク比がもっと小さくなればそれだけE-valueも小さくなる.

それくらいの未測定交絡ありそうじゃねという気持ちになってくるのである.

 

出典もE-valueにカットオフはないとしているが,

なにせ値で出てくるのでその大小で判断しそうになるし,

大小で判断してそうな論文も見受けられる.

 

リスク比は小さいが真に関連があるものは確かにあるだろうし,

その真にあるリスク比によってE-valueを測ると小さく出てしまうのは,

上記のような短絡的な解釈(E-valueが小さい≒未測定交絡の影響ありそうだよね)に

なり兼ねない.

 

E-valueを解釈するには既報や臨床的な判断が必要になるし,

既報と今やっている研究での投入した交絡因子が合致しなければ,

その既報の未測定交絡によるリスク比もそのまま解釈できないだろう.

かつ,臨床的判断とは言ったが,臨床的な判断でリスク比なんてわからんだろう.

 

 

上記がE-valueも問題点で,E-valueについてしっかり理解しているならよいと思うが,

単純に値の大小だけで判断されては困るということだ.

 

 

 

ちなみに他のE-valueの問題点を述べたものは下記になる.

www.acpjournals.org

抄独会: 絨毛膜羊膜炎による児の長期神経予後への影響 / Chorioamnionitis and risk of long-term neurodevelopmental disorders in offspring: a population-based cohort study(Am J Obstet Gynecol. 2022 Aug;227(2):287.e1-287.e17.)

第2回

 

Chorioamnionitis and risk of long-term neurodevelopmental disorders in offspring: a population-based cohort study (Am J Obstet Gynecol. 2022 Aug;227(2):287.e1-287.e17.)

 

産婦人科のトップジャーナルであるAJOGから

 

絨毛膜羊膜炎の児の長期神経予後への影響をみた研究

- 早産自体の神経予後の影響を除いても,絨毛膜羊膜炎は神経予後に影響するのか? -

 

Known: 絨毛膜羊膜炎が神経予後に影響するかもしれない.

Unknown: しかし,その関係はコントラバーシャル.
        早産自体も神経予後に影響するし,絨毛膜羊膜炎が早産の原因になる.
     この辺りをちゃんと考慮し解析したものはあまりないよね.

 

 

目的:

絨毛膜羊膜炎→早産→神経予後 というパスはありそう

絨毛膜羊膜炎→神経予後(早産を介さない)もあるのでは?その大きさは?

というRQに答えたい.
ということで今回用いられた方法が『causal mediation analysis
産婦人科領域ではまだあまり用いられてなさそうでトップジャーナルに受理された要因だろう.

 

方法:

A retrospective population-based cohort study in Sweden.

P: A total of 2,228,280 singleton live births and stillbirths between 1998 and 2019
I: Chorioamnionitis +
C: Chorioamnionitis -
O: Neurodevelopmental disorder (cerebral palsy, autism, attention deficit hyperactivity disorder, epilepsy, and intellectual disability)

北欧のデータベースは羨ましいですね...

 

統計手法:

① Multivariable Cox proportional hazards regression was used to estimate the association between chorioamnionitis and each neurodevelopmental disorder

(↑これだけならよくある研究ですよね)

② A causal mediation analysis of the relationship between chorioamnionitis and neurodevelopmental disorders with preterm delivery (<37 weeks) was performed.

早産の影響を考慮しつつ,絨毛膜羊膜炎自体の直接の神経予後への影響を定量していく.

(↑今回はこれが肝ですね)

 

①を詳しく↓

交絡因子を3つのステップで増やしている. しっかりしてますね.

Model 1: maternal age at child’s birth, parity, maternal educational level, country of mother’s birth, smoking during pregnancy, maternal height, early-pregnancy BMI, any psychiatric disorders, child’s sex, calendar year of birth, and cohabitation with a partner

Model 2: + major congenital malformations

Model 3: + the mode of delivery

そして,

The robust sandwich estimate of the covariance matrix was used to calculate 95% CIs in all Cox models to account for the sequential births to the same mother

この辺りもちゃんとクラスターを考慮したロバスト推定しております!

(余談ですが,自分の研究では同じ母親が複数回出産したようなクラスターの考慮はGEEを使用しましたね. 正直この辺りはどれか最適解なのか,そもそも最適解があるのかわかりませんね...)

 

②を詳しく↓

Total effect: the association between chorioamnionitis and the outcomes
を以下にわけてます

Natural direct effect: the association between chorioamnionitis and the outcomes in the absence of preterm birth
 → 媒介変数(早産)の変化を除外した上での絨毛膜羊膜炎の有無での神経予後の変化を見ております.

Natural indirect effect: the association operating through the mediators
 → 絨毛膜羊膜炎があるという上での早産の有無での神経予後の変化を見ております.

 

CDEも評価してます.

Controlled direct effect: the effect of chorioamnionitis on the outcomes that is not mediated through preterm birth (ie, among term births).

 

また,以下も評価してます.

The proportion of the total effect between chorioamnionitis and the outcome(s) that was mediated through preterm delivery.
Composite mediator of (ⅰ) preterm delivery and neonatal infection,
                               and (ⅱ) preterm delivery and respiratory distress syndrome (RDS)

を用いて結合した媒介効果も評価してます.
The joint mediation effect of neonatal morbidity and preterm delivery on the association between chorioamnionitis and the disorders.

 

 

詳しくはKRSKさんのブログが非常にわかりやすいです.
このような素晴らしいコンテンツを無償で公開していただいていることに感謝です.

www.krsk-phs.com

 

感度分析もしっかり行ってます.

感度分析:

1. E-valueを用いた方法

2. アウトカムが診断される前に死亡してしまうとunderestimateの原因になるため
 次の更なるアウトカムを含めた解析をした: stillbirth, infant mortality (ie, deathwithin the first year after birth), or any neurodevelopmental disorder (ie, stillbirth, infant death, or epilepsy).
 Logistic regression analyses( the same confounders noted in model 2 )

3. より臨床的に明らかな神経学的障害にアウトカムをフォーカスするために,
  診断時期を変更した: 
  3+ years of age for ADHD and intellectual disability,
    1+ years of age for diagnoses of autism,
    26+ days of age for epilepsy.

4. 欠損補完としてMultiple imputation with chained equationsを行った.
 (MIに入れてる変数を明示してないけど使ってる変数でやっているのだろう)

 

やれることやってるんだぜという感じが出ている. 
気合を感じますね.

 

結果:

A total of 5770 (0.26%) offspring were exposed to chorioamnionitis during pregnancy.
少ないかも...? 

 


Exposure to chorioamnionitis increased the hazard ratios of
(1) cerebral palsy (adjusted hazard ratio, 7.43; 95% confidence interval, 5.90-9.37),
(2) autism (adjusted hazard ratio, 1.43; 95% confidence interval, 1.21-1.68),
(3) attention deficit hyperactivity disorder (adjusted hazard ratio, 1.17; 95% confidence interval, 1.03-1.33),
(4) intellectual disability (adjusted hazard ratio, 1.99; 95% confidence interval, 1.53-2.58),
(5) whereas chorioamnionitis was not significantly associated with higher rates of epilepsy in offspring.

(上記はmodel 1の結果)

model 2, 3でも概ね全体の結果,方向は同じでした.

 

Mediation analysis revealed that these associations were mainly explained through preterm delivery; however, increased risk was also observed among term infants.

 

Effects of chorioamnionitis on cerebral palsy

in natural direct : HR 2.91 (95%CI, 2.01-4.21)
in natural indirect (mediated) : HR 2.57 (95% CI, 1.93-3.41)

This indicates that 70% of the total effect of chorioamnionitis on cerebral palsy was mediated through preterm delivery, and about 30% of the total effect was explained through other undiscovered pathways (other than preterm birth).

Furthermore, 41% of the total effect was jointly mediated through preterm delivery and neonatal infections, and 57% jointly mediated through preterm delivery and RDS.

Similar mediation effects of preterm delivery, neonatal infection, and RDS were also observed for autism, ADHD, and intellectual disability. 

 

感度分析: 結果はロバストでしたよ↓

1. the E-value for the HR and the lower 95% CI were greater than the observed estimates
 未測定交絡に対してロバストでした.

2. 死亡など別のアウトカムを含めても同じような結果でした.

3. 診断時期を変更しても同じような結果でした.

4. MIしても同じような結果でした.

 

結果:

絨毛膜羊膜炎は悪い神経予後 (cerebral palsy, autism, attention deficit hyperactivity disorder, and intellectual disability) と関連する.

そして,その関連は主に早産を介する. 

でも早産以外のパスも確かにある.

 

” Efforts for timely identification and appropriate interventions to treat infections during pregnancy will have sustained benefits in reducing the burden of neurologic complications in children at the population level. ”

と結論している. 

 

 

批判的吟味:

・CAMのproportionが0.26%しかいない.  too smallでは?
 既報では4%とされていたり, 自身の持っている日本の大規模データでも
 2.5%なのでデータベース上の病名感度が低いと考えられる.

・データベース研究あるあるですが絨毛膜羊膜炎の重症度や
 どのうように診断されたかや胎盤病理が不明.

・total effect of chorioamnionitis on cerebral palsyの70%が
 早産を介するもので, 残り30%が早産以外のパス.

 しかし,  早産+新生児期感染を介するとすると41% 
       早産+RDSを介するとすると57%      となる.
 媒介要素が増えてるのになぜ割合が減っているのだろう?
 この辺りは考察に触れられていない.

・結論” Efforts for timely identification and appropriate interventions to treat infections during pregnancy will have sustained benefits in reducing the burden of neurologic complications in children at the population level. ”は言い過ぎではないか?
 今回の結果からはここまでは言及できないと思う.

 

感想:

きちんと丁寧に解析しているという印象ですね.

周産期分野にも因果媒介分析が用いられ, 疫学的な観点からも絨毛膜羊膜炎の神経予後への影響を評価したというのは非常に重要な結果だと思います.

基礎研究と臨床疫学研究の両輪をもって頑健な結果を目指していくのが望ましいように思います.

 

 

★論文作成で頻出する文章ミス 8選★ ※初心者必見

(すごい釣りみたいなタイトル)

私がかなり出くわしたミスを記します. 

本当に初心者には有用と思う.

 

まず何よりもAuthor guidelineを熟読しましょう.

そして投稿先の最近のフルペーパーを参考にしましょう.

 

① Refferenceの体裁ミス

  特にRefference毎にバラバラだと最悪

  ジャーナル指定のものと違ってしまっても均一な方がまだマシ

  そしてソフトまかせにしないで最後は必ず自分の目で確認すべき

② アメリカ英語とイギリス英語

  だいたいジャーナルが指定してくる

  これもまぜこぜだと最悪

  わからない時は, 最近の出版物やジャーナルがどこの国のものか参考

③ スペースが必要な個所にない 

  逆に不要なスペースがある

  これは単位とか%の記述でよくある

  通常は数字と%はスペース不要

  また,全角スペースが混ざってることもある

④ 複数形と単数形ミス 

  コピペとかしてるとよくミスする

⑤ 略語を使ってるのに,その後の文章にフルタームが出てくるミス

⑥ 本文, テーブル, アブストで結果の値が異なる

  書いてる途中で解析変更したりすると生じるミス

  信頼性がかなり下がるので注意

⑦ 同じ事柄を指す言葉なのに場所によって違うワードチョイスをしている

  これは一貫性にかける

  できるだけ同じ事象に対しては同じワードを使い続けるべき

⑧ フォントのスタイルやサイズの不均一

  これも凡ミスですがたまに出くわす

 

とざっと思いつく感じのものを記した.

 

ミスがないようにするコツは

Wordの校正機能や検索機能を活用すること

紙で印刷してたものでも確認すること

 

以上!