ある産婦人科医の備忘録

産婦人科医(医師6年目)の臨床、研究、考えについて

産婦人科医が膣分泌物のグラム染色をしてみる~細菌性腟症~骨盤内炎症性疾患~などなど

(引用:

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%A0%E6%9F%93%E8%89%B2

 

産婦人科医が自分でグラム染色をすることは自分の周りでは稀である.
稀というか,見たことがない.

 

初期研修医のときは内科でよく喀痰のグラム染色をしていました(懐かしい).

上級医に好きなだけやってよいと言われ一生懸命グラム染色していた.

(私が研修していた病院では自分でグラム染色する研修医も珍しかったよう)

 

さて、細菌性腟症の診断といえば

Nugent score

WHO診断基準

その外にもAsmel, Spiegelなど多数の診断基準がある.

依然とメジャーなのはNugent scoreではなかろうか?

 

Nugent scoreはグラム染色によりラクトバシラス、ガードネレラ、モビルンカスの割合でスコア化するものである.

現在の勤務先では細菌検査室に依頼すれば技師さんがやってくださるのだが,

夜間・当直ではやっていただけないので,自分でやるしかない.

なかなか忙しい診療環境で自分でやることは難しいのだが,
やれるときは自分でやった方がよいだろう.

 

グラム染色の手順はググればすぐわかる.

しかし,見慣れていないと細菌の種類は何が疑わしいのか迷う.

とくにガードネレラと腸球菌の判別に迷うことがある.

正直,この2種類の判別はどうしたらいいのかわからない.

腸球菌の方が丸い感じといったところだろうか?

しかし,ガードネレラもわりと丸いのである.

ああ難しい. 教えてください.

 

しかし,そこは突き詰めなくてもよいだろう.(←感染症の先生に怒られそう)

結局はラクトバシラスが少なくて,他の菌が増えていて,

貪食像などあれば,積極的に感染を疑う方向でよいだろう.

明確な菌種は培養検査に委ねる.

 

そして,婦人科臓器の感染は嫌気性細菌も含めた多種の細菌によるものが多いとされるため,グラム陰性桿菌,陽性球菌,嫌気性菌をカバーできる抗菌薬のチョイスがよいだろう.

 

軽症ならフラジール.

 

頸管,子宮,骨盤内感染まで考えるならオーグメンチン・サワシリン.

入院ならセフメタゾール, スルバシリン.

そしてクラミジアマイコプラズマのカバーでアジスロマイシン併用.

だいたいこの辺で上手くいく.

膿瘍形成している場合は外科ドレナージ.

 

産婦人科医なのでというと甘え?な感じになってしまうが,

概ね上記のようなやり方で私は診療している.

 

しかし,注意が必要な点を加える.

それはA群溶連菌やブドウ球菌である.

 

劇症型A群レンサ球菌感染症は特に妊娠中は重篤化,死亡に繋がるので可及的速やかに抗菌薬加療の開始が望ましい.

 

黄色ブドウ球菌では,タンポンの入れっぱなしなどによる,トキシックショック症候群による重篤化の可能性がある.

 

 

また、特殊なケースとして子宮内避妊具を入れっぱなしによる

放線菌感染症も覚えておきたい. 

これは子宮肉腫などと鑑別になることもあるので注意.

 

 

 

まとめ

・自分で膣分泌物のグラム染色をしてみよう.

 

・Nugent scoreは正確につけられなくても
 ラクトバシラスが少なくて,他の菌が増えていて,
 貪食像などあれば,積極的に感染を疑い治療を開始.

 

劇症型A群レンサ球菌感染症,
 黄色ブドウ球菌トキシックショック症候群
 は重篤化するリスクがあるので
 早急に抗菌薬加療を開始しよう.